持将棋(じしょうぎ)とは?意味や知っておくべきルールを解説

将棋アプリなどで対局中、突然画面に「持将棋」と表示され、対応に困った経験はありませんか。実はこの持将棋、正しい知識がないと、本来勝てたはずの将棋を引き分けや負けにしてしまうリスクがあります。
「点数計算はどうやるの?」「勝敗の基準は?」といった疑問を持つ方に向けて、本記事では初心者の方にも分かりやすいよう、持将棋とはどのようなルールなのか、その仕組みや判断基準について解説していきます。
目次
持将棋とは?詰まない特別な終局ルール
将棋の持将棋とは、両対局者の玉が敵陣深くに入り込み、お互いに相手を詰ます見込みがなくなった段階で成立する公式の終局形です。
千日手と同様に「無勝負」と規定されており、対局者同士が合意することで成立します。プロの対局では原則として勝敗がつかず、先手後手を入れ替えて指し直しになるのが基本ルールです。
一方で、アマチュア大会など時間が限られる場面では、そのまま引き分けとして扱う場合もあるため、持将棋とは「状況に応じて処理が異なる特別な終わり方」と理解しておくと良いでしょう。
参考サイト:日本将棋連盟
発生しやすい局面の特徴
持将棋とは、具体的にどのような場面で成立するのかイメージしにくく、実際の対局や観戦で戸惑う方も多いようです。実は、玉の位置や盤面の動きが止まるまでの過程には決まった流れがあり、その発生には特徴が見られます。ここでは、持将棋に至るよくある展開について、具体例を交えながら見ていきましょう。
お互いの玉が敵陣へ入り込む「相入玉」の展開
入玉とは、玉が相手陣地の三段目以内に入り込む状態を指します。玉がこのエリアに入ると、攻め駒が届きにくくなり、相手を詰ます形を作るのが難しくなります。
過去の例として、2007年2月の朝日オープン将棋選手権では、久保利明九段(当時八段)の玉が入玉し、相手の玉も三段目付近にあった段階で持将棋が成立しました。
お互いに玉を捕まえるよりも、玉を敵陣へ進め合う「相入玉」の形になりやすいため、観戦時は駒の取り合いが止まるかどうかに注目すると、流れが分かりやすくなります。
攻め駒が届かず「詰み」がなくなる膠着状態
玉が敵陣の奥へ進むと、相手の攻め駒が届かず、詰ますための手順が途切れやすくなります。さらに両者の玉が安全圏へ入ると、攻めても駒を取ることができず、盤面の形勢がほとんど動かない状態が続きます。
こうなると、対局を続けても勝負がつかないため、合意に向けて具体的な手順へと進むケースが多いです。
実戦においては、攻め合いから「お互いの入玉を確認する作業」へと意識が移るため、どのタイミングで駒の取り合いが収束するかが判断のポイントになります。
24点法による点数計算の仕組み
持将棋とは引き分けになる場面というイメージがあっても、実際にどのような基準で判定されるのか、詳しくは知らないという方も多いかもしれません。将棋の駒には種類ごとに決まった点数があり、その合計によって勝敗や無勝負が決まります。
ここでは、持将棋における点数のルールについて、具体的な数え方と勝敗の基準に分けてご紹介します。
大駒5点・小駒1点・玉0点の配分ルール
点数計算において、玉(王将)は計算の対象外となるため数えません。勝敗に関わるのは玉以外の駒です。
具体的な配点は、飛車と角行といった大駒は1枚につき5点、金・銀・桂・香・歩といった小駒は1枚につき1点とします。盤上で駒が成っていても点数は変わらず、龍や馬も元の飛車・角として扱うため、途中で計算方法が変わることはありません。
盤上にある駒と持ち駒をすべて合計して算出しますが、平手の初期状態であればお互いに27点ずつ持っている計算です。
24点以上なら引き分け・23点以下は負け
計算の結果、両者が24点以上持っている場合は無勝負となり、持将棋が成立します。一方で、どちらかが23点以下の場合は点数が足りず、不足している側の負けが決まります。
盤上の駒と持ち駒の点数は合計で54点なので、もし自分が31点以上を確保できれば、相手は最大でも23点となり、点数のルール上で勝ちが確定します。
実際の対局では、合意のうえでお互いの点数を確認し、基準の24点に届いているかを判定します。この基準を知っておくと、観戦時にも持将棋とはどう決着するのかが理解しやすくなります。
プロは指し直しでアマは引き分け
プロの公式戦で持将棋が成立した場合は無勝負となり、原則として先手と後手を入れ替えて指し直しを行います。
指し直し局では、持将棋成立時に残っていた持ち時間を引き継ぐことが多く、時間が少ない側は厳しい戦いになりがちです。また、初形から指し直すため、作戦の再構築や気持ちの切り替えも重要な要素となります。
一方、アマチュア大会やネット対局では運営時間を優先し、指し直しをせずそのまま引き分けで終わるケースもあるため、同じ用語でも運用の違いがある点に注意が必要です。
プロ公式戦は「無勝負」として指し直し
持将棋が成立したあとの手続きは、まず対局者が合意して点数計算へ進むのが基本です。
合意に至らない場合は「入玉宣言法」というルールが適用されることもあり、500手に達した際の規定なども存在します。
タイトル戦などでは当日に指し直さず、後日改めて対局が組まれる場合もあるため、観戦時は持ち時間の差やスケジュールに注目すると状況を把握しやすいでしょう。ネット将棋では引き分け回避のために独自の判定基準を設けていることもあるため、事前にルールを確認しておくと安心かもしれません。
避けるための序盤の意識
相入玉を避けるには、序盤から「相手玉を自陣に入れない」と意識し、攻めを継続することが大切です。自玉が安全なうちに攻めれば、入玉前に寄せ切れる可能性が高まります。
相手が敵陣へ入ろうとする前に、攻め駒を前進させて守備を崩す指し回しが有効です。守りに偏ると侵入を許すため、歩や香車で逃げ道を塞ぐ工夫も効果的でしょう。こうした戦術に加え、ルールを知っておけば、いざという時も冷静に対応できるはずです。
まとめ
今回は、将棋の対局で稀に発生する持将棋とはどのようなルールなのか、成立条件や点数計算について解説しました。
持将棋とは、相入玉などで詰ます見込みがなくなった局面を、対局者の合意と点数規定で処理する終局形です。玉以外の駒を数え、双方が基準点以上なら無勝負、点数不足なら負けという明確な判定基準があります。
まずは序盤から攻めの姿勢を保ち、相手を入玉させない意識を持つことが、持将棋そのものを回避する近道と言えるでしょう。













